「都心部」「都市部」の意味と違い

　　「都心部」という言葉は、「都心部の地価下落」「都心部の機能強化」などのように、ニュース等でよく聞かれるものです。一方、これとよく似た「都市部」という言葉も、やはり普段からたびたび聞かれるようになっています。両者は一字違いで使われる場面も共通することから、区別のポイントが分かりづらくなっていますが、果たしてどういった点で使い分けられるのでしょうか。 　　今回は、「都心部」と「都市部」の意味や違いについて、分かりやすく解説していきたいと思います。 　　「都心部（としんぶ）」とは、「都市の中心部に位置し、政治、経済、文化などの中枢機能が集積している地区」を意味する言葉です。特に、東京都の中心地帯を指して使われます。「都心」とも言われ、現在では「中央業務地区」の名称で呼ばれるケースも多くなっています。 　　「都心部」には、さまざまな企業のオフィスや銀行、行政施設といった業務管理機能、高級・専門の小売店、デパートなどの商店街、また、映画館や劇場などの娯楽・文化施設が集中しているという特徴があります。 　　「都心部」の「都」は「都会」を、「心」はこの場合、「物事の重要な部分」を意味しています。 　　「都心部」と「都市部」は、一見似ているようでも、厳密に表す範囲は違います。「都心部」の場合は、都会のさらに中心部を指し、「都市部」よりも範囲が限定される点が特徴です。また、特に「東京の中心地帯」を指す点も、「都市部」との違いになります。 　　「都市部（としぶ）」とは、大まかに言えば、「都市に分類される地域」を意味する言葉です。「都会」とほぼ同義語になります。 　　「都市」とは、「人口が集中し、政治、経済、文化の中心になっている大きな集落」を意味します。「部」は、あるものをいくつかに分けた際の一部分を指す語で、「都市部」という場合は、「農村部」などとの対比で用いられるようになっています。「都市部の交通渋滞解消に向けた対策」「都市部への人口集中はさまざまな問題を引き起こす」などのように使われます。 　　「都市部」も「都心部」も、「人口が密集して、周囲一帯の政治や経済、文化の中心となっている地域」という点で違いはありません。ただ、上記のように表す範囲は異なり、厳密に使い分けることが可能です。「都心部」が「都会のさらに中心部」あるいは「東京の中心部」を指すのに対し、「都市部」は「農村などに対比した際の都会にあたる地域」を指すようになっています。